医療において「絶対」はない!?

2016年02月27日

医療の世界において「絶対」はない・・


前出の通りです。
風邪は治るとは断言できませんし、癌が治らないとも言い切れません。
沢山の研究、臨床経験、知見、エビデンス(最近、急激にもてはやされているものです。医学における「客観的証拠」と考えてください。)がどんどん蓄積され、これだけ医学が進歩しているのにも関わらず、残念ながら、医療現場においては「絶対」という事は有り得ないのです。
医師の診断、治療、見立てといったものは、あくまで、医学という学問を基盤とした知識や経験、技術(哲学、信念)に基づく「確率の高い決断、選択」であって、それが間違いなく正しいとは、断じて言い切れません。
繰り返しますが、究極的に、
何が起こるかわからない・・
一寸先は闇・・
まさかの事態に突然陥る・・
これが、医療現場の頑然たる現実です。
だからこそ、医師は、常に素直な気持ちで、謙虚に全力で、日々の診療に臨まなければならないのです。


しかし、実はたった一つだけ、「絶対」があるんです(考えていただくよう、お願いしてありましたよね?いよいよ答えを発表させていただきます!)。
それは

「人は死ぬ」

という事です。


死なない人(生物)はいません。
少なくとも、これまでの地球上の歴史では、間違いなく誰一人としていません。
どんなに強い人でも、全く病気をしなかった人でも、莫大な医療費をつぎ込んだ人でも、必ず死んでいます。


繰り返します。
人は必ず死ぬんです。
どんなにあがいてもです。
健康に良いと思われる事を120%やり続けても、素晴らしい名医に治療してもらっても、残念ながら、地球上の全ての人に、いつかは必ず100%あの世に行く日が来るんです。
医師の立場からすれば、どんなに勉強しようとも、研究が進歩しようとも、エビデンスが蓄積されようとも、患者さんに永遠の命を授ける事は、残念ながら未来永劫絶対に不可能なのです・・。


ところが、医師が修めている「西洋医学」は、大前提として、
「死は敗北である」
と捉えているんです。
基本的に、死は忌まわしきものであり、何としても避けなければならないものであり、受け入れがたいものなんです。


この、人類が100%永遠に逃れられない「死」というものを、どのように受け止め、理解しているかは、医師として非常に大切なポイントになります。
自分の持っている知識、技術、経験の全てを注ぎ込み、全身全霊を尽くした全ての患者さんに、いつかは必ず死が訪れる・・
では、患者さんに治療を施す事は、実は無駄な事なのか?
「死」とは何なのか?
逆に「生」とは一体何なのか?
どうせ必ず死ぬのにも関わらず、何故、人はこの世に生を受けるのであろう??


勿論、答えはありません。
学問や研究ではどうにもならない永遠の命題です。
でも、それでも一生懸命考え、苦悩し、自分なりの「死生観」を築き上げていく事が、とても重要なんです。
それが、人の生と死に直接関わる医師という職業の、義務であり大きな責任でもあるのです。


このような答えのない命題に対する、限りない試行錯誤の積み重ねにより、最後に残っている、治療者に必要な人間的素養である
「スピリチュアリティ」
なるものが、築かれていくのです。
最も難解、かつ捉えどころがなく、しかし、恐らく究極的に最重要な素養である、この「スピリチュアリティ」については、また回を改めて、じっくり考えてみたいと思います。